考察コーペレーション!

ツイステッドワンダーランドの考察サイト。性格がてんで違う友達ふたり、あおばとみどりで運営してます。

6章を終えたあおば&みどりの会話

【6章ネタバレしかないのでご注意くださいませ】





ーー5月某日


緑:読了ーーーーーーー!

青:おっ どうよ

緑:これは… 考察を…!


【オルトは何を手に入れたのか】


緑:「生きた魂だから冥府には行けない」って理由で、メモリーカードが戻ってきたじゃん?

青:うん

緑:たぶん、いわゆる16歳オルトが魂となって、AIオルトのボディに宿って、ふたりで身体を共有してる感じなのかなと

青:あれをそう読んだか…

緑:悩んだけどねえ。あなたはどう読んだ?

青:青年ボイスのオルトは死んで、別途AIオルトが自我を獲得したという話だと思った

緑:そっちか… じゃあ、オルトのセリフで「コアパーツのあたりがあったかい気がする。感じるんだ、オルトがここにいるって」をどう読んだ?

青:雷連撃のせいで起きたというバグなんじゃね?

緑:そのバグが青年ボイスオルトの魂なんだと理解していた…

青:私はそもそも、あの青年ボイスのオルト自体が、AIオルトの空想だと思ったんよ


【「青年ボイスのオルト」は実在するか】


緑:どういうこと?

青:青年声は「こんにちは」のくだりだけで、その声を聞いてたのはAIのオルトだけなんだよね。オルトはその声の主を「彼」、すなわち死んだ?オルト・シュラウドであると認識してるようなんだけど、イデアがその青年声の語りを知覚してる描写がないんだ

緑:なるほどね、演出的にはそうかもしれない。たとえば、6章後編で、オルトがイデアを「兄ちゃん」呼びをしていても、そこに青年声が重なるとか、そういう演出がなかったし、青年声のオルトとイデアの会話もなかった。

青:イデアが「彼」を知覚してたら、なんか声かけるだろうと思うんだけど

緑:そうだねえ…


【自己意識=心=魂?】


緑:オルトのアイコンは魂っぽいよね

青:ぽいね

緑:私がなぜ「魂が宿った」という読みをしたかというと、メカオルトができたとき、イデアが唯一「作れなかった」と自覚したのが「魂」だったよね。

青:あー

緑:「魂」がないから、「これはオルトを演じさせられている別物だ」と感じた。だから、その悲願の「魂」が宿った、というストーリーだと思ったの。でもAIにも自我が芽生えていて、オルトの魂は、AIの自我を押し退けはしなかったから、共存なのかなと。

青:魂が宿ったっていうのは、そうだと思う。それが生身のオルト由来か、AI由来かって議論よね。


【死をいかに捉えるか】


緑:たぶんさ、イデアは、あおばちゃんに近い理解をしてるよね。弟のオルトはあのとき死んで、自分がAIのオルトを作って、AIに心が芽生えたっていう

青:AIオルトはみどりに近い理解をしてるってことになるね。自分と違う「オルト」がここにいるって感じてる。その話題、イデアにスルーされてるけどね。

緑:これは「死」をどう捉えるかっていう話かもしれないね。

青:というと?

緑:イデアは、死んだまさにそのとき、死者の時計は止まったと認識してる。だから、8歳の姿のオルトを作って、今もそのまま維持してる。

青:ほう

緑:オルトのほうは、彼が生きてれば16歳だった、っていうような、自分と共に老いていく「魂」を想定してるんじゃないかな。

青:あー…8歳のこどもオルトの声は、青年ボイスじゃなかったもんね。あの青年声のオルトは、時が進んでる象徴なのか。


【「彼」は何者か】


青:あれ、待って、「彼」って死んだオルトで確定?

緑:というと?

青:冥府から出てきたでしょ? 冥府って死んでたら入れないでしょ? 「彼」は生きた魂じゃないってことでは? あれ? 冥府ってあの世?

緑:ファントムを凍結してるタルタロスの、最深部が冥府だね。死んでいないと入れないみたい。

青:なんだろう…タルタロスという監獄の一部があの世にめり込んでて、生きていないファントムをまとめて保管してるとか、そういうことなのかな

緑:明言されてないね。深い層にいるファントムがより危険で、一番古いのが原初のファントム。これが冥府に封印されてて、みんなが各タワーで戦った3体の敵、ということは分かってるけど。

青:イデアとオルト、内側から開けるって言ってたから、冥府にいたよね、生きてるのに… オーバーブロットしてれば入れるんかな… シュラウド家だから? それだったらオルトのメモリも入れちゃうか。うーん… え? あれ?

緑:どうしたの?

青:青年声のオルト、ファントムのモノマネなのでは?

緑:え?

青:ファントムに知能があってモノマネするって、くどいぐらい言われてなかった?

緑:えっ怖い

青:8歳のオルトを連れ去って、結果冥府送りにされたファントムが、冥府を開けさせるために、AIオルトをおびき寄せたという話なのでは?

緑:怖い怖い怖い

青:一番スッキリしない? 冥府を開けられるシュラウド家の人間がいる、ケルベロスシステムをオフにできる人もいる、所長はいない。そもそもイデアが過去にシステムハックして、結果ファントムを逃してるわけだし、もっかい開けてーっていう…

緑:うう… ひどい…

青:最悪やな

緑:AIオルトはさ、オルトシュラウドならどうするのか、っていう、答え合わせをしたかったんじゃないかな、ずっと。オルトに会って、どうすれば僕が僕になれるか知りたかった。だから、呼ばれたら行っちゃうかもね…


【真相はわからない】


青:でもどれも確証がないね

緑:ぼやかしてるのかなあ

青:わからん。6章情報多すぎや

緑:あっねえラストでリリア死亡フラグ立ってなかった!?

青:なんかあった

緑:7章どうなるんだろう…ディアソムニア編、楽しみだけど不安だな。セベクには幸せになってもらいたい。あと緑川さん…

青:みどり、ほんと緑川さん好きね

緑:好きです(キッパリ)

名門トラジディー! ーイデアに関する考察ー

年の離れた弟がいます、みどりです。
ついに、ついに、イグニハイド編配信の発表がありましたね!いやが応にも、期待と不安が高まります!
ということで、今日は無自覚イケメンヲタクお兄ちゃん・イデアについて考察したいと思います。

イデアの衣装収集がまだあまり進んでいない方は回れ右、「いいや!読むね!」という方はそのままスクロールしていただければと存じます。では参りましょう。


目次
・生い立ち
・モチーフはだれか
・描かれかた
・今後の展開


・生い立ち
◯シュラウド家について
マスターシェフイベントで「名家の坊っちゃんなのにテーブルマナーどうした!?」と散々言われたイデアですが、たしかにイデア(運動着)のパーソナルストーリーでラギーにシュラウド家のことを「あの名門」と言われています。しかし一方でイデア(式典服)では「呪われたシュラウド家」「不幸がうつる」などと言われることをイデアが危惧してもいます。名家でありながら、人々から畏れられる…というと、私はムシュー・ド・パリを思い出します。えふじーおーですっかり有名になった、シャルル・アンリ・サンソンに代表されるようなフランスの死刑執行人ですね。彼は死刑執行人として、社会の最底辺であるという強い偏見を受けながら貴族並みの暮らしをしているという矛盾を抱えていました。
ここに5章ラストでイデアが言った「どうせ僕はどこにも行けないんだから」を考えあわせると、たとえば

☆シュラウド家は「人が嫌がる」ような仕事を家業としており、且つそれは世襲制である

などが予想できると思います。
ちなみに「シュラウド」はグリム童話にある「the shroud」という母が子の喪失を受け入れていく物語と同名であり、その原義は「遺体をくるむ布」です。
そこに「嘆きの島」という出身地を考え合わせると、なにかしら死にまつわることを家業としているのかなと私は予想します。ちなみに、イデア(運動着)パーソナルストーリーで「あの嘆きの島の『シュラウド』だよ」という言い方をしているので、シュラウド家と嘆きの島は強い相関関係にあることが察せられるでしょう。島に住み着いて、それこそ「どこへも行けない」暮らしをしていたのではないでしょうか。

では、「人が嫌がる」ような仕事とはなんでしょう。

ここで気になるのが「ゴースト」の存在です。ツイステッドワンダーランドでは、ゴーストがそこかしこに存在し、なんらかの職責を担いもすれば、ハネムーンベイビーも誕生するらしいではありませんか(イベント『ゴーストマリッジ』参照)。
つまり死者がかなり身近な存在として、ツイステッドワンダーランドには存在しているということです。そして「死後の暮らし」もあるようです。また、統一試験で手に入れられるトレイン先生の台詞では「廊下を走るな!他の生徒やゴーストに当たったらどうする。なに?ゴーストにはぶつからない?口答えは許さない」とも語られています。
つまり、ゴーストと人は触れ合わない、ということが分かります。ゴーストは料理したり、お裁縫したりしていますが、人と触れあうことはできないのです。ということは、料理や裁縫は魔法でしているのかな?と気になるところですが。それは一度置いておいて。

☆シュラウド家の家業は「ゴースト」と関係があるのではないか

と私は考えています。ツイステッドワンダーランドにおいて、すべての人が亡くなるとゴーストになるのかどうか、それはまだ明かされていません。ひょっとすると、ゴーストになれない人(死後の生活が約束されない人)もいるかもしれません。ただ、少なくとも、「ゴースト」になると、人と触れ合うことができなくなります。そのゴーストになんらかの干渉をできるのが、「シュラウド家」の人々なのではないかと私は考えます。イタコさんのような存在ですね。
ちなみにゴーストに関しては、オルトのホーム台詞にこんなものがあります。
「ゴーストとはなかよくなれない気がする。だってあいつら、実体もないくせに、僕をバカにするんだもん」
そう、ゴーストには「実体」がないのです。だから人と触れ合うことができないのですね。さて、この台詞にはもう一点、気になることがあります。ゴーストがオルトをバカにしているところです。可能性としては、ゴーストが、完全な「人」でも、ゴーストでもないものとして、オルトをバカにしている…などが考えられますが、このような状態が成立するためには次のようなパワーバランスが想定されると思います。

☆シュラウド家とゴーストは対等な関係にある。あるいはオルトがシュラウド家の人間として未熟である(もしくはシュラウド家の人間としての能力を喪失している)。

このどちらかがないと、「バカにする」というシチュエーションは起きないと思います。
イデアはホーム台詞(式典服)でこんなことを言います。
「鏡の間にいると誰もいないはずの場所から視線を感じたりしない?…冗談だよ、ヒヒッ」
冗談とはいえ、わざわざこんな冗談を言うということは、たとえば

☆シュラウド家の者は霊能者であり、普通の人が見ることのできないものを見ること等ができる

という可能性が考えられるのではないでしょうか?
これはオルト(実験着)のホーム台詞「なにして遊ぶ?かくれんぼはダメだよ。生きてる人の居場所はセンサーですぐわかっちゃうもん」と対照的でもありますね。ひょっとすると

☆シュラウド家の人間は普通の人には感知できないゴースト(霊魂)を捕捉したり、干渉(触るなど)することができる

のかもしれません。これらを考え合わせると、私はやはり

☆シュラウド家はゴーストに関わる家業を持ち、それは世襲制である

☆シュラウド家の人間としての異能を、オルトが喪失する一方、イデアは有している

のではないかと考えます。
さて、更に気になるのはグリムの暴走のタイミングです。私はてっきり7つのオバブロ石を食べたところで、シェンロじゃなくて、暴走が始まるのかと思っていました。しかし実際は5章ラストで暴走は始まっています。そうなると

イデアはグリムの暴走を止める能力や、グリムの居場所を知る能力を持っている

可能性があるのではないでしょうか。
イデアの得意科目は「召喚術」です。
ひょっとすると、それを活かしてグリムと戦ってくれるのかもしれませんし(これがユニーク魔法の可能性もありますね)、あるいはあのあとグリムが失踪してしまって、それを見つける(霊魂などの軌跡を辿る)力を持っているのかもしれません。

ただ、グリムが失踪した場合にはもうひとつ使えそうなものがあります。
ゴーストカメラです。
このことについては、グリムの記事で書きたいと思いますので、完成した暁にはご覧いただけると嬉しいです。
また、グリムのもふもふ部位がはイデアやオルトの髪と酷似していることも、その記事で触れられたらなと考えています。

・モチーフはだれか
これはもう『ヘラクレス』のハデスで間違いないと思うので、どんなところにハデスの要素が表れているかを確認しておきたいと思います。

◯饒舌、女性の扱いがうまい
この点については、原典のハデスとはむしろ逆では?という気もしていたのですが、相方・あおばたそに「イデアにとっては、オンラインの彼が彼のリアルだから、合ってるんじゃない?」と言われ、なるほどねえ~と思いました。
イデアは「ルート確定」など、ノベルゲー(もっと言えばギャルゲー)の用語を使ったりしていますし、ゲームの世界でならたしかに女性の扱いも手慣れたものでしょう。
饒舌さはオンラインだけでなく、ヲタトークモードになったときも見せていますよね。余談ですが、私はイデア役の内山さんがかなりハデス役の嶋田さんの演技に寄せてるのかなあと感じるときがあります。特に早口のとき。意図してやっているのなら、内山さんすごいなあ器用だなあと思います。役者さんってすごい!

◯先進的な技術
原典ヘラクレスでハデスが管理する死者の国では、死者の数をカウントするシステムがあります。このことはイデアおしゃべりでも触れられています。
古代と先進的な技術というと、一見、相容れないように見えますが、近代の科学技術や思想、多くの分野は古代ギリシアにその端を発すると言えるほど、古代ギリシアはとても進んだ国でした。
たとえば詩人ピンダロスは「オリンピック叙情詩」の第7巻においてロドス島について次のようにうたっています。
"The animated figures stand(命を与えられた人形が立っている)
Adorning every public street(あらゆる街角を飾って)
And seem to breathe in stone, or(石の中で息をするように)
Move their marble feet.(大理石の足を動かすように)"
アンドロイドの原型としても引用されることの多い詩ではないでしょうか。
5章末で語られているように、イデアの魔導工学の技術は多数のスカウトを集めるほどのものです。このあたりにも原典『ヘラクレス』のエッセンスを非常に感じます。

ボードゲーム
原典『ヘラクレス』で、ハデスは作戦を伝える際にチェス盤を用いています。このことはイデアのおしゃべりでも触れられています。
「本当はサイエンス部に入りたかったのに、意外と人数が多いからボードゲーム部にした」とイデア(おめかし)で述べていますが、ハデスの要素でもあると言えるでしょうね。

・描かれ方

☆「運命」への思い

カウントダウン台詞でイデアは「こんなところに来ちゃうなんて……君、運命の女神に見放されてるね」と言っています。
この言葉からはイデアが「運命」というものをある程度、信じていることがうかがえます。そうなると、5章末の「どうせ僕はどこへも行けないんだから」も、自分はそういう「運命」(変えようのないもの)の元に生まれついたのだと考えている可能性があります。
ちなみに「運命」と言えば、イデアの推してる「がけも」こと「崖っぷちもいらす」は、原典映画にも登場しています。ぜひ原典映画をご覧の際は見つけてください。たしかにシワが目立つし、「運命の糸で結ばれた三人の女の子」という設定がじわりますし、「崖っぷちってそういうことかいw」となります。
ちなみに先ほどの台詞、ツイステッドワンダーランド(あるいはNRC?)のことを「こんなところ」と表現している点も気になりますね。イデアにとって、彼の生きる「リアル」(ツイステッドワンダーランド)より、酷いものなんてあるわけがない、という考えなのでしょうか。
ここで、もうひとつ、イデアの描かれ方で気になることがあります。

☆「持つ者」への劣等感

マレウス(おめかし)のデュオ相手だったり、イベント『星に願いを』ではマレウスのかわいいけれど切実な願いを叶えてあげたり、意外と繋がりのあるのがイデアとマレウスのふたりです。
実はイデア(式典服)のパーソナルストーリーにもマレウスが登場しています。ちなみにイデア(式典服)の物語と、オルト(式典服)の物語は繋がっているので、ぜひ2枚お手元に揃えてあげてください!
さて、イデア(式典服)で、イデアはオルトに「兄さんが式典服を着て、入学式に参加しているところが見たい」とねだられます。オルトの願いを叶えてあげたいイデアはがんばるのですが、マレウスの言った言葉を誤解して、部屋に引きこもり、皆さんご存じの通り、タブレットでリモート参加することにしてしまいました。そのときのイデアの台詞です。
「やっぱり外なんて、僕を苦しめるイベントしか起きない……。(中略)マレウス氏みたいに、最初からなにかを持っている人間と僕は違う。どうして忘れてたんだろう。」
ここでイデアがマレウスの何について、「なにかを持っている」と表現したのかは正直分かりません。世界にその名をとどろかせるほどの魔力のことなのか、茨の谷の次期王として人々から崇敬され、守られてきた環境のことなのか…。
私は「堂々と人前に立つことのできる力」なのではないかと考えています。
1周年記念イベントにおける、グリムのおしゃべりは各寮長が相手になっています。その中にはもちろん、イデア寮長もいて、そのタイトルは「人を惹きつける力」です。会話としては、イデアが死者の国の王(ハデス)にどれほどカリスマ性を感じていて、自分がいかに彼を尊敬しているかを述べています。私はこれがイデアの言う「持つ者」なのではないかと考えます。つまり、

イデアは人から後ろ指さされることを恐れ、人前で堂々とできる自分でありたいという願望を(無意識的に?)持っている

のではないでしょうか。
このあたりが6章で明らかになっていくのだと思いますが。マレウスを自分とは対照的な「持つ者」として認知しているのは注目すべき点だと思います。

☆オルトへの複雑な思い

これはもう端々に表れていると思います。たとえばオルト(実験着)の台詞を見てみましょう。

オルトを前にイデアが、
「お前にこんなにたくさんの機能をつけて、僕はなにがしたかったんだろう。最先端の医療ツールなんか今更つけても意味なんかないのに…」
「だって……、だって、元はといえば、僕が……」
とうなだれます。ここにはオルトが今のような姿になった原因は自分にあるという強い自責の念、オルトを今のような姿にしたことへの疑問がありありと浮かんでいるでしょう。

さらに、イベント『星に願いを』のイデアスターゲイザー)のホーム台詞では、
「木の人形が本当の人間になるなんてありえない。奇跡が起こるのは 都合の良いおとぎ話の中だけだよ」
とも言っています。ここには「オルトを本当の人間にしたかった(戻したかった?)」という思いを読み取れるのではないでしょうか。
イデアとオルトの兄弟に起きた悲劇については、拙文「機巧ハートウォーミング!ーオルトについての考察ー (https://aoba-midori.hatenablog.jp/entry/2020/11/06/194129)」で詳しく予想していますので、そちらをご覧ください。


・今後の展開
ここまで本編は限りなく忠実に原典にあたる映画の展開をなぞっています。
そのことをふまえると、6章で起こりうることは、

イデアがなんらかのものと対立

原典映画では、ゼウスとハデスが対立関係にあるところから物語が始まります。ですので、たとえば5章ラストでイデアをスカウトしようとしていたオリンポス社などとの対立が予想されます。あるいは『星に願いを』の時のように、なんらかの拒絶をして、その説得役に監督生がまわることも考えられますね。

イデアのユニーク魔法の判明

ここまで、オーバーブロットしているのはグレートセブンをモチーフに持つ生徒であり、その生徒のユニーク魔法は必ず明かされています。そのため、イデアのユニーク魔法も6章でお披露目されるでしょう。得意科目の召喚術と関係あるのか気になるところです。
このことについては、相方・あおばが「悪行ユーティリティー!ーユニーク魔法とヴィランズー(https://aoba-midori.hatenablog.jp/entry/2020/11/05/184820)」という記事でも考察していますので、ぜひ御覧ください。

☆グリムの救出

原典映画では、ヘラクレスが愛する女性・メグが死へ向かうのを食い止めようとする場面があります。
5章ラストでグリムが暴走してしまっていますので、その救出が行われる可能性があるかなと考えます。私・みどりの考察では、オルトがヘラクレスをモチーフに持つ可能性があると考えているので(「機巧ハートウォーミング!ーオルトについての考察ー( https://aoba-midori.hatenablog.jp/entry/2020/11/06/194129)」をよければ御覧ください)、オルトの活躍があるんじゃないかなあと思っております。

☆名台詞爆誕

ここまで「お断りだ!」「誰かあたしを気絶させてちょうだい!」など、オーバーブロット勢は必ず決め台詞を最後に残しています。イデアも必ずなんらかの決め台詞を言うでしょう。
個人的には「どうせ僕はどこにも行けないんだから」が克服される(どこへでも行けるようになる)ものの、「ここは僕の居場所じゃない気がする!」と逃げ出すイデアなんてどうかなーと思っています。
実はこの予想、ある仮定に基づいて行ったのですが、この仮定については、現在相方と検証中ですので、くわしくは別記事で・・・

といったところでしょうか。
ストーリーはもちろん、内山さん、蒼井さんおふたりの演技にもワクワクして6章を待ちたいと思います。
ポム3人の活躍(特にヴィル様のユニ魔をどう活用するのか!)にも期待したいですね。

いずれにせよ、イデア君。
自由になって…。どこへだって行っていいんだよ…。

以上、みどりがお送りしました!ノシ

王族リスポンシビリティー!ーレオナについての考察ー

こんにちは!
某アイドルゲームで生徒会副会長を演じている方が、おじたんを演じていることに未だに驚いてしまうみどりです。役者さんてすごい。
今日は「おじたん」こと「レオナ・キングスカラー」について、彼が第二章で果たした役割や今後の活躍について考えたいと思います。

この記事は、原典映画『ライオンキング』や、ツイステ第2章のネタバレを盛大に含みますので、「困るゥ」という方は、ここで回れ右してくださいね!

では、参りましょう!





目次
・生い立ち
・モチーフはだれか
・描かれかた
・今後の展開

・生い立ち
レオナはみなさんご存じの通り、夕焼けの草原の王国の第二王子として生を受けました。そして、そのことによって、優れた力を持ちながら、王位に就けず、人々に畏怖されることに不満を持っています。
また、兄嫁には頭が上がらなかったり(レオナ・式典服)、甥っ子に手を焼いたりしています(2章末、イベント『スケアリーモンスターズ』など)。
元となっている「スカー」が知略に長けるものの、力はあまりないような描写が目立つので、そのあたりの反映なのかなと思っています。

・モチーフはだれか
さて、そこで、今回は「レオナ・キングスカラー」というキャラにどのようにモチーフとなったヴィランズがおとしこまれているかを考えたいと思います。
モチーフとなっているのは、外見的特徴やアイコンからいっても『ライオンキング』の「スカー」で間違いないと思います。

・描かれ方
さて、その「スカー」ですが、グレートセブンの中でも少し異質な存在だと私は思います。それは

☆スカーはグレートセブンの中で唯一、「殺し」を実行している

という点です。

ハートの女王…「首をはねよ!」が口癖ではあるが、作中で殺しの描写はない
アースラ…アリエルの恋する王子を奪おうとするが、殺しはしていない
ジャファー…王を洗脳したり、アラジンをドッカーン!するが殺しには至らない
美しき女王…白雪姫を殺そうとするが、王子の登場によりその危機は回避される
ハデス…ヘラクレスを殺そうとするが、返り討ちに合う
茨の魔女…オーロラを覚めることのない眠りに陥れるが、殺しはしない

こうして並べてみると、スカーだけは明確に兄ムファサを殺しており、その点においてはかなりヴィランズの色が強いキャラクターです。そのショッキングな設定をそのままなぞることは、やはりはばかられたのでしょうか。
『ツイステッド・ワンダーランド』では、基本的に原典映画をなぞるようにストーリーが展開されますが、2章は大きな工夫がされることになります。
それが、「マジフト」という「競技」を通して、レオナのスカー性を反映させるという取り組みなのではと私は考えます。(また、この、「学校行事」を「ヴィランズ性の表現」に用いる手法は3章や5章に受け継がれていると思います)

・ラギーのユニーク魔法を駆使し、有力選手にケガを負わせる…自分自身は極力手を下さず、言葉や状況でムファサを揺さぶる狡猾さ

・自身の不正が暴かれると、出場をあっさり放棄してしまう…王座につくも、プライドランドを荒廃に向かわせる無責任さ

こうした形で、スカー性をレオナに投影しているのではないでしょうか。

さて、ここで重要だなと感じるのが後者、つまりスカーおよびレオナの「無責任さ」です。
原典映画『ライオンキング』の冒頭では、「あの太陽が照らす場所すべて、お前の統べる場所だ。ただし、あの光の当たらない場所には行ってはいけない」と父に教えられたシンバが「どうして?王様だからなんでもやっていいんじゃないの?」と問いかけます。それに父・ムファサは「王様だからなんでもやっていいわけではない」と、王様にも、してはいけないこと、しなければいけないことがあること、いわば「王としての責務」を語ります。
原典映画でスカーは兄殺しとシンバの追放に成功すると、王として横柄にふるまい、狩りはメスライオン達に任せ、怠惰な暮らしを送ります。つまり「王としての責務」を放棄したわけです。そして、プライドランドの「サークルオブライフ」は崩れ、国は荒廃していきます。
つまり、「王としての責務」は『ライオンキング』を貫く重要なテーマだと考えられるわけです。
そして、このシーンは、監督生の見る「夢」にも現れ、『ツイステッドワンダーランド』においても重要なシーンとして捉えられています。

さて、このレオナの「無責任さ」は、オーバーブロット後に(いくらか)解消され、マジフトにも正々堂々出場しますし、その後の物語でも、5章の舞台設営などで「責任を果たすレオナ」が描かれているように思います。

・今後の展開
さて、気になるのは、2章で「保留されたもの」です。
ハイエナ達との関係はラギーによって、シンバとの関係はチェカによって、ムファサとの関係はファレナを通して描かれるわけですが、この中で「ファレナとの関係」だけはやや保留感があったように思いませんか?
たしかに2章のマジフト大会を全うしたことで、ラギーにぶつけられた不満(マジフトに夢を託す自分達をないがしろにして、大会を放棄しようとしたこと)も解消し、チェカの登場によって、レオナの「甥を排除したい」という思いはスカーのように悪質ではなく、「鬱陶しい」くらいのものであったことが分かります。
しかし、ファレナに関しては回想に登場したのみで関係の変化は描かれていません。
「常に兄と比べられ、遂には甥の登場により王になる機会も失ったこと」が、レオナの抱えていた問題の中心にあるにも関わらず、です。
そこで私が考えているのは

☆スカーがムファサに向けていた感情は、レオナとマレウスの関係によって描かれていくのではないか

ということです。
考えてみれば、マレウスは「茨の谷の次期王」であり、レオナの持っていないものを持っている存在、つまりスカーにとってのムファサに近い存在と捉えられる気がします。

また、第2章でも、マレウスはスカーがムファサを殺した手口(大群で押し潰す)で手負いにされようとしており、これもまた、マレウス=ムファサの役割を果たしている証左だと思います。
さらに、この陰謀がハーツラビュルの活躍によって破られたあとは、リリアに
「お主は持って生まれた才や順序のせいで、王になれぬと嘆いておるようだが……。
報われぬからと怠惰に生き、思惑が外れれば臣下に当たり散らすその狭量さ。
その程度の器で王になろうなどと…
我らが王マレウスと張り合おうなどと、笑わせる。
たとえマレウスを倒したとて、その腐った心根を捨てぬ限り…
お主は真の王になれぬだろうよ!」
と断言されています。

このように、レオナはかなり明確にマレウスと比較されており、その構図は兄・ファレナ(モデルはムファサか?)と比較されてきた過去によく似ています。

となれば、レオナの物語はまだ完結しておらず、マレウスとの関係を通して、彼のスカー性は完成を見ると考えることはできないでしょうか。
実際、レオナは特質が後から分かることもあるキャラです。2章でリドルの「オフウィズユアヘッド」を跳ね返すほどの防衛魔法を見せつけたあとも、調合の難しい薬を短時間で作ったり(実験着)、魔法石を効率的に掘り起こしたり(イベント『バルガスキャンプ』・アウトドアウェア)、様々な才能を披露しています。5章ではPC機器に強い一面も見せくれました。

だとすると、レオナは今後も物語の中心人物として活躍の機会がありそうです。
個人的な観測ですが、

☆99連敗からの脱却をかけた、次のマジフト大会でマレウスとの協力が描かれる

ことによって、ファレナと和解するスカーのifの比喩とする、などがあるのではないでしょうか。
その他、レオナは「黒い石」にも言及していたり、まだまだ目を離せない存在になっていくのではないかと思います。
それこそ「本当のハッピーエンド」に深く関わってくるのではないでしょうか…?

ちなみに、これはうちのあおばさんが気づいたことなのですが、レオナの名前を分解して、
レオ(獅子)
キング(王)
スカー
という単語を抜いていくと「ナラ」が残ります。「ナラ」はシンバの婚約者の名前です。もし彼女がレオナのモチーフに含まれているとしたら、映画の中でナラが果たした役割を果たすかもしれません。
映画ではプライドランドを離れ、「ハクナマタタ」の名のもとに過去から目を背けるシンバを、ナラが見つけ、プライドランドに呼び戻しています。
となると、たとえば、拗ねてしまったマレウスをレオナが呼び戻す、なんていう展開があるかもしれませんね。

ということで、ますますおじたん、じゃなかったレオナに注目せねば、と思っているみどりによる考察でした!

2章ではラギーの「ラフウィズミー」で笑わされた彼ですが、今後は心から笑える日がくるといいなと願っております。
それでは、また!(みどり)

【雑】もう一組の双子について

こんばんは。一人っ子のあおばです。
今日は双子についての雑学がてら、キャラ考察にも片足突っ込みたいと思います。

イデア バースデーカードのパーソナルストーリー中心にネタバレありです。

 

さて。

 

NRCの生徒には、双子と明言されている兄弟が一組いる。オクタヴィネル寮のリーチ兄弟である。

だが本記事で私はもう一組、双子がいるのではないかという疑念について検証したい。イグニハイド寮のシュラウド兄弟である。

 

双子とは、一人の母親の胎内で、同じ時期に発生した二人のきょうだいを指す。片方だけが早産になるなどの理由で、誕生日が数週離れてしまうこともあるが、このようにして誕生日が異なる場合も、生物学的には双生児とみなす

 

一つの受精卵が二つに割れて多胚化する一卵性双生児と、別々の受精卵がそれぞれ着床して発生する二卵性双生児がある。

一卵性双生児の場合、原則的には同一の遺伝情報を持つので、同性の双子となる。容姿もよく似ている。しかし、遺伝によらない部分(指紋や得意科目)では違いが出る。有名なところでは、芸人の「ザ・たっち」の二人が、一卵性双生児である。

さらに「ザ・たっち」の二人は、一卵性双生児の中でも特に「ミラーツイン」と呼ばれるタイプの双子である。受精卵の発達がある程度進んでから2つに分かれた一卵性双生児の一部は、利き手やつむじの向きなど、おもに外胚葉由来の要素、つまり「外見および脳」が左右入れ替わったように形成されることがある、というのだ。この特徴が強く表れれば、二人の姿はちょうど鏡写しのように、左右逆転した状態になる。外向的か内向的かなど、遺伝的な要素が大きいとされる性格の要素が、その他の一卵性双生児と異なって「逆に」表れることもあるという。

 

さて、リーチ兄弟を見てほしい。オッドアイの左右が逆、髪のメッシュの位置が逆、さらに利き手が左右逆である。性格もまあまあ対照的。かなり意図的に、ミラーツイン的な描かれ方をしている。ただしその他に、つり目・垂れ目の違いや、歯の形の違いなど、遺伝的要素によると考えられる差異があるので、設定上は一卵性ではなく、二卵性に近い双生児なのかもしれない(人魚に単体多胎の発想があるのかどうかわからない、そもそも胎生なのかどうか...)。

 

さて。

なぜ私が、シュラウド兄弟が双生児であると考えたかについて、である。

 

根拠はイデアのパーソナルストーリー(バースデー 3話)である。

インタビュアーに「誕生日の思い出を聞かせてください」と振られたイデアが、「両親からのプレゼントはゲームが多かった」「もらった日は大喜びでオルトと一緒に遊んだ」「小さかったころはいつも僕が勝ち越しちゃってさ、ま、拙者天才ですから」と語り、負けて悔しそうにするオルトのために、テクニックがなくても勝てるようなアナログのゲームで遊ぶようになった、と述べた。オルトが勝てるようにしたことについて、インタビュアーに「優しいんですね」と言われたイデアは、「ま、まあ誕生日だし……一応兄だし…………。」と応答する。

年齢が離れていれば、「小さいころ」に兄が勝ち越すのは、天才だからではなく、兄の方が発達が進んでいるからだ。わざわざ「天才だから」勝ち越すというのは、つまり、兄弟の発達に差がないという前提を示していないだろうか。なぜ「誕生日だし」という理由で、弟のオルトが勝てるよう配慮するのか。「自分の誕生日はオルトの誕生日でもある」とは受け取れないだろうか。

 

オルトの設定資料を見てみよう。誕生日は8/14である。兄のイデアが12/18であることを鑑みると、ヒトとしては「分娩が2回に分かれてしまった双生児」とするには不自然な離れ具合である。ただし、オルトの誕生日は「今のオルト」の製造年月日である可能性がある。

オルトとイデアの髪色・目の色は同じだが、これも「そう作っただけ」かもしれない。

問題は利き手である。イデアの利き手は左、オルトの利き手は右である。ロボットとしての利便性を追求するならば、両利きに設定する方が合理的なはずだ。そもそもビームを発射できたり、アタッチメントを交換したりできるように作製しておいて、利き手もなにもない。そこにわざわざ「右利き」という形質が付与されているのは、イデアが「自分とは何もかも鏡写しの」双子の弟の形質を懐かしんで、わざわざ引き継がせたからではないだろうか。

 

 

みどりによるオルト考察はこちら

 https://aoba-midori.hatenablog.jp/entry/2020/11/06/194129

 

【雑】「眠れる森の美女」のハッピーエンドについて

あおばです、こんばんは。

 

ディズニーが成し遂げた偉業の一つが、「王子様がお姫様を救い出し、末永く幸せに暮らしました」というハッピーエンドのパターンを世界中に叩き込んだことであろう。童話をもとにしたディズニー長編アニメ映画の中で、王子様が姫を救い出すために戦うという型を与えられた最初の作品が「眠れる森の美女」である。悪い魔女に呪われた姫を助け出すため、恐ろしいドラゴンに立ち向かう勇敢な王子。しかし、原作であろうグリム版の「いばら姫」には、恐ろしいドラゴンは出てこない。王子も特に戦わない。

 

ディズニーが提案したハッピーエンドを理解するため、また、ツイステットワンダーランドの「本当のハッピーエンド」について考察する準備のため、今回は「眠れる森の美女」の物語を確認しておきたい。

 

「眠れる森の美女」を、ここでは  ①姫が亜麻の棘を契機に長い眠りにつき ②眠りから覚ました王子と結婚する という2要件を満たすものとする。由来は諸説あるものの、ゲルマンの神話から抽出されてフランスの民話になり、再度ドイツに輸入されたものと考えられているらしい。その過程の様々なタイミングで、様々な地域から収集された版が存在しており、複数のパターンとして伝えられる。

さて、ディズニーが原案としたのはペロー版ないしグリム版と思われる。ここで、バジレ(17世紀前半)、ペロー(17世紀後半)、グリム(19世紀前半)、ディズニーの4つの物語について、大まかな差異を表にまとめた。 

 

 

バジレ版

ペロー版

グリム版

ディズニー版

編者の地域

イタリア

フランス

ドイツ

アメリ

姫の名前

ターリア

不明

不明

オーロラ

”魔女”は総勢

0人

8人

13人

4名

他に眠るのは

0?記述なし

家来全員

王・王妃を含む全員

王子は

既婚

独身

ドラゴンは

出てこない

出てくる

目覚めは

後日、授乳中

時限

王子のキス

姫の妊娠は

寝ている間

起きたあと

-

-

子どもは

男女の双子

姉と弟

-

-

“肉”は

王子に食わせる

妃が食べる

-

-

妃は最後

自害

王子が殺害

-

-

 

さて、目覚めたあと、バジレ版とペロー版には続きがある。グリム版とディズニー版ではカットされている部分である。大まかにいうと、王子の先妻ないし母が人肉を食らう魔女である。姫は子を産むが、先妻ないし母は、姫と子どもたちを殺して食用に供そうとする。家来の機転で姫らは命拾いし、悪事を暴かれた先妻ないし母は亡ぶ。姫と子は、王子とともに幸せに暮らす。白雪姫とよく似たモチーフである。

 

さて、この「続き」を含むバジレ版・ペロー版では、姫が子を産む。姉と弟の名前には2版に共通点があり、バジレ版では「ルナ(月)とソーレ(太陽)」、ペロー版では「オーロール(暁)とジュール(太陽)」となっている。オーロールはAurore、フランス語では北極圏のオーロラも、暁も、両方Auroreである。この点で、姫にオーロラの名を付けたディズニーは、ペロー版を踏まえているのかもしれない。

 

ペロー版の特徴は、王子が妙にかわいいことである。王子が姫の元に到着したちょうどその時、眠りに落ちてから100年の時が経過して、姫は目を覚ます。そして素晴らしく微笑みかける。一目ぼれした王子は舞い上がって、しどろもどろに愛を誓う。城中の使用人全員が姫と同時に目覚めたため、王子は手厚い歓待を受け、その日の晩に結婚式を挙げ、ロマンティックな初夜を迎える。

わざわざ「しどろもどろ」と書かれているあたりに可愛げがあるが、問題はこの王子の母である。後半は、ママに隠れて身分不相応な妻を娶ったら、怒ったママが嫁と孫を食おうとする話なのである。これもこれで結構ヤバい。

 

バジレ版の特徴は、王子がクズであることと、とにかく姫が全然起きないことである。王子(既婚)は狩りの途中、たまたま眠っている姫を見出し、美しいので強姦し、帰宅。この事態でもうクズ限界突破であるが、姫は9か月後に寝たまま出産、妖精の介助を受けながら子育てする。ある日、寝たまま授乳中、双子の片割れが乳にたどり着けず母の指を吸い、指に刺さっていた麻のトゲを吸い出す。ここでようやく目を覚ました姫は、「目が覚めたらなぜか城には自分一人で、知らない子どもが2人おり、目に見えない誰かが世話をしてくれている」という状況に戸惑う。その後しばらくして、姫のすばらしさを思い出した王子が城を再訪し(クズの上塗り)、双方が事態を把握。王子は喜んで「今度迎えに来る」と宣言して、再度帰宅する。この隙に本妻である妃が、姫に刺客を送ってくるという展開。大丈夫かこの王子。こいつについて行ってハッピーエンドが見られるとは到底思えないのだが。 

 

それを踏まえてディズニー版を振り返ってみよう。王子を取り巻くヤバみはそぎ落とされ、たどたどしさも消されている。愛のために戦う騎士としての地位が与えられ、強くりりしく、洗練されて美しい。ペロー版とグリム版のロマンティックな演出が抜き出され、統合されている。

この型の物語を世界に広めたディズニーの功績は大きい。これを踏まえたツイステットワンダーランドにおいて、「本当のハッピーエンド」として何が提示されるのか、今からとても楽しみである。

 

(あおば)

轟雷ロイヤリティー!ーセベクについての考察ー

はじめは「え…この子、声が大きいってことと、若様絶対忠誠しか、個性ないの…?」とセベクに戸惑いを感じた、私、みどり。
それが今となっては、パーソナルストーリーの端々にいるセベクを見ては「かわいいっ」となり、「ほーら!飴だよーー!」とGroovyさせる日々でございます。
そんな、人をダメにする、忠誠心のかたまり・セベクについて、今日は考察をしていきたいと思います。

ここからは色んなキャラのパーソナルストーリーやイベントストーリーのネタバレがありますので、「困る!」という方は回れ右でお願い致します。


目次
・生い立ちについて
・種族はなにか
・描かれ方
・気になる発言


◯生い立ちについて
・生育環境
ここで特筆すべきなのはやはり、セベク(制服)のホーム台詞、「茨の谷では同世代の知り合いはシルバーしかいなかった」になるでしょう。
これについては

①茨の谷では長らく子どもが生まれなかった時期がある
②セベクとシルバーは、同世代と隔絶されて育てられており、その存在を知らない
③茨の谷では妖精が希少な存在になっている

という、みっつの可能性が大まかに想定できると思います。

①については「戦乱の時期だった」ことが考えられると思います。シルバーが「マレウス様と親父殿あっての命」と言っているように、どうも彼らの幼少期、茨の谷は動乱期にあったようです。
②については、たとえば「マレウスの遊び相手として、城の中で育った」とか、「なにかから(おそらく人間から)守るためにかこわれて育った」という推測が成り立つと思います。原典『眠れる森の美女』では、オーロラがブライア=ローズと名を変えて、森の奥でこっそり育てられますよね。そのイメージに近いのはこれかなと思います。
③については、「同世代」自体は存在しているが、セベクがそれを「知り合い」とは呼びなしていない、というパターンですね。この場合、セベクが「知り合い」と認めていない同級生はやはり、人間(シルバーを除く)なのかなあと思います。

同世代…が何歳差までの人を指して言っているのかは不明ですが、仮にNRCに同時期に在籍できる前後3歳差、と考えてみましょう。
セベクのホーム台詞(実験服)に「さっきの授業の内容、僕はミドルスクールで習ったぞ?」というものがあります。私たちの生きる世界でのミドルスクールは、位置付けとしては日本の中学校にあたるもの、エレメンタリースクール(小学校)とハイスクール(高校)の間にあるものです。厳密には、国や地域によって通う年齢層や期間が異なるのですが…。(なお、ジャックのおめかしバースデーでは、6歳になる弟がミドルスクールに上がる、と言っています。ツイステッドワンダーランドでも学校制度の違いに地域性があるのか気になるところです…)ここでは仮にセベクが13~15歳までミドルスクールに通ったとしましょう。前後3歳差以内の「知り合い」がシルバーしかいないとなると、セベクは学年でポツンとひとり過ごしていたことになります。
もし、「知り合いはシルバーしかいない」というのが、「同世代が存在しなかった」という意味なら、日本の分校のような感じで過ごしていたかもしれませんね。学年は違うけど、シルバーと同じ教室…という感じ。その場合、最後の1年はシルバーがいないから、ひとり卒業式だったのかなあ…ぅ、涙でスマホが見えなくなりそうですが、がんばって考察を続けましょう。
剣の修行(魔法もなのかなあ?)はリリアにつけてもらってたわけですから、シルバーとはかなりの時間を共有してきたのでしょう。

こうしてみると、セベクにとって、忠誠を誓った若様・師匠であるリリア・兄弟子にあたるシルバー、この3人が自分の「世界」を構成する「すべて」に近い存在だったことが伺えます。
だからこそ、「マレウスによって作られた存在説」が出ているのかもしれませんね。
しかし、そんな彼にも「家族」がいることがイベント中に判明しました。

・家族構成
これについては本当につい最近、イベント『スケアリーモンスターズ』の中でマレウスが「血の気の多さは祖父に似たのか?」と言っている通り、「祖父」が彼にいることが判明しました。となると、セベクは父母がいて、祖父母がいて…という一般的な家族構成のもと育ったようです。「同世代の知り合いはシルバー以外いなかった」わけですから、セベクは一人っ子か、だいぶ年の離れた兄弟がいるか、どちらかだと考えられるでしょう。
セベクが一人息子だなんて、私だったらもう、あったかいごはん食べさせて、あったかいお布団で寝かせて、猫可愛がりすること確定ですが、どんなお母様なのでしょうね。「描かれ方」の項でくわしく述べますが、あの素直な性格を形成したご家庭なので、なんとなく人を疑うことを知らなくて済むほど、かわいがられて育ったのかなあと私は思っています。
かわいいからしょうがないですよね、かわいがっちゃいますよ、それは、ええ。

さて、マレウスがセベクの祖父の人柄を知っているわけですから、セベク祖父はマレウスに近しい存在だったことが考えられるでしょう。それこそ、そのおじいちゃまが「マレウス様を守れる強さを」とセベクに教えたのかもしれません。
ただ、幼少期に茨の谷が動乱期にあり、ジグボルト家が領主を守る立場にあったのなら、セベクが小さいときにお父様、おじいちゃまが亡くなってる可能性はありますね。
それでリリアに師事することになったのかな、と私は考えています。

◯種族はなにか
セベクのアイコンはマレフィセントの操る雷ですが、これはちょっとレアケースですよね。今のところ、「キャラクター」をモチーフに持たないキャラはエペル、セベクだけのように思います。(リリアが微妙なところですが、それはまた別の記事にしたいと思います)
そしてなにより、セベクには各考察サイトを困らせる外見的特徴があります。

それは、セベクには人間と妖精、両方の特徴があるというものです。これはセベクにだけ見られる特徴です。
『ツイステッドワンダーランド』の妖精は皆とがり耳ですが、セベクは丸い人間の耳です。
一方、瞳はマレウスやリリアと同じく縦長の瞳孔(瞳の中心部分)で、これは妖精の特徴と言えます。マレウス、リリアとの違いは、虹彩(瞳孔のまわりの〃描写)が濃く描かれていることです。
たしかに監督生のことも「人間」呼ばわりですし、人間を見下す描写が多いので、少なくとも「ふつうの人間」ではないのだと思います。
馬術部の馬がセベクにおびえると言っているので(セベク・運動着ホーム台詞)、只者ではないのでしょう。

だからこそ、「マレウスが作り出した命(マレウスの魔法である雷モチーフのため)」、「ワニ(の妖精?獣人?)である(エジプト神に同名の神がおり、その頭がワニであるため)」など、考察サイトが諸説紛々になるのでしょうね。

さて、このなかなかハッキリしない『セベクの種族はなにか』問題に、今日もギャアアアアとハマっていきたいと思います。

現在のところ、私は以下の可能性を考えています。

★なんらかの爬虫類の妖精と人間のハーフである
セベクはバトル開始時に「丸のみにしてやる」と言ったり、ホーム台詞(実験着)で「温室の環境は最高だな。あったかくて、湿っていてリラックスできる」と言ったり、爬虫類の特性を思わせる発言をします。候補として挙げられる爬虫類としては、蛇か、トカゲか、ワニなのかなあ…と思うのですが、いかがでしょう。
個人的にはワニがいちばん原典に沿ったモチーフになるのかなあと思っているのですが、蛇、トカゲも候補として残しておきたいと思います。

まず、私がなぜ彼を「妖精と人間のハーフ」と考えたかご説明しましょう。

みなさんはフランスの民話に現れる、「メリュジーヌ」という半妖半人をご存じですか?
メリュジーヌは泉の妖精を母に、スコットランドの王を父に持つ、妖精と人間のハーフです。
メリュジーヌは人と恋に落ち、富をもたらし、10人の子宝にも恵まれますが、その婚姻の際、「土曜日に沐浴をするので、それをのぞかないこと」という条件を出していました。『つるのおんがえし』感のある展開ですね。しかし、夫は悪い噂を耳にしてしまい、その約束を破って沐浴を覗いてしまいます。すると、メリュジーヌは上半身は美しい女性だったが、下半身は大きな蛇だった…というのが、メリュジーヌの民話の見所です。もっと知りたい方は、フランスの民話を集めた本や、妖精の本をご覧頂けたらと思います。ポピュラーな話のようで、色々な本にとりあげられていました。
メリュジーヌの姿にはいくらかバリエーションがあって、上述のように「上半身は完全に人」の場合もあれば、「背中にドラゴンの翼が生えている」という伝承もあるらしく、ドラゴンと縁のある存在でもあります。
ここに、セベクの「人間と妖精、両方の特徴を持つ」という外見を考えると、セベクもこのような半妖半人なのではないかなとみどりは思っています。『眠れる森の美女』はフランスの詩人、シャルル・ペローがまとめた民話のひとつですので、フランスの伝承からなんらかのインスパイアをされていてもおかしくないかなとみどりは考えております。
このメリュジーヌに完全に準拠するなら、「蛇の妖精と人間のハーフ」ということになるでしょう。

では、他の妖精とのハーフである可能性も検証しておきたいと思います。

まずはトカゲについて。
恐竜の名前に「~サウルス」とつきますよね。あれはラテン語で「トカゲ」を指す言葉なのですが、日本語にするときは「~竜」と訳されます。たとえば「ブラキオサウルス」(首がなが~い恐竜です)は、「雷竜」となります。雷…、セベク考察では見逃せない言葉ですね、ただブラキオサウルスはたかーいところの葉っぱをモリモリ食べているおっとりさん…のようですので、セベクとはイメージが合わなさそうです。ですので、ブラキオサウルスは一回置いておいて。
ともかく、ラテン語を日本語にする際、「トカゲ」が「竜」となります。そのため、偉大なるマレウス・ドラコニア様(ってお呼びしろとセベクが言ってました)に縁のある爬虫類としてトカゲを候補にあげます。

次に、私が一番可能性が高いのではないかと思っている、ワニについて。
原典『眠れる森の美女』を見ますと、マレフィセントの数いる配下の中にワニのような小悪魔のような、ちょっとかわいいのがいます。16年、ゆりかごの中を探し続けていたという、あの配下のものたちですね。そのうちのひとりです。
他にも豚っぽいの、鳥っぽいの、人っぽいのもいるのですが、「丸飲みにしてやる」と言いそうなのが、このワニ頭ちゃんです。この子をモチーフとして取り入れたと考えると、ワニの頭を持つエジプト神・セベクを名前の元ネタに選んだ、という形で整合性が取れると思います。
また、このマレフィセントの配下たちはみなモスグリーンの身体にオリーブ色の瞳が爛々と光っています。カラーリング的にもセベクに近いと言えそうです。

さて、では、どうしてそのような出生…半妖半人となるに至ったのか…が気になるところですが、これもまた、茨の谷における「妖精ー人間」の対立が絡みそうなので、リリアかマレウスの記事でそのあたりは考えたいと思います。

◯描かれ方
これについてはリリアじゃなくても「お前は本当に可愛い子じゃな」(セベクおしゃべりより)の一言に尽きるので、もうどこから整理していいか分からないのですが、「セベクかわいいと思ったことないんですけど…」という方にも、彼のかわいさを感じて頂けるように尽力して参りましょう。

・茨の谷でマレウスたちとの学園生活を夢見た1年間
マレウス、リリアが三年生、シルバーが二年生ですから、セベクには「敬愛する若様にもリリア様にも、そして唯一の同世代の知り合いであるシルバーにも会えない」、さみしい1年間があったことが推察されます。
「入学前の1年間、1人でも修行は欠かさなかった。僕もこの学園に入学できると信じていたからな」(式典服・ホーム台詞)と、「なんてことない」といった感じに言っていますが、闇の鏡による寮分けでは、(リドル・式典服)

「や、ややややった~!!!!若様と同じ寮だ!!!!」

と、ベソかきながら言ってますので、実際は1年間「黒い馬車は僕のことを迎えに来てくれるだろうか」「若様やリリア様、シルバーがいるディアソムニアに入れるだろうか」という不安があったんじゃないかなあと思います。かわいいですね。
ちなみにこのあと彼は迷子になって、そこでも泣きべそかきます。(ジャミル・式典服)かわいいですね。

セベクの式典服カードはディアソムニアカラーのマジカルペンを大事そうに、そして真剣な眼差しで抱き締める構図になっています。その表情の向こうには、茨の谷で「1人で」、夢見た学園生活がいよいよ始まることへの深い感動と「若様をお守りする」という強い決意があるのでしょう。かわいいですね、かわいくて泣けてきますね。


・とにかく素直!
「若様とお呼びしていいのは臣下だけだ!『偉大なるマレウス・ドラコニア様』とお呼びしろ!」、など尊大な態度が目立つセベクですが、一方で素直すぎるほどに素直な顔も持っています。
リドルの騎乗スキルを見るや否や、馬術部への入部を即決するなど、いいものはいいとすんなり認めますし(リドル・式典服)、
リリアが適当に言った「合理的な栄養摂取」をバカがつくほど真面目に実践しています(セベク・運動着)。
とにかく素直で、リリアに至っては分かって騙しているようですね。「また僕を騙したのですか?」とセベクがベソかいています。それに対して「それを完食したら、口直しに菓子でも買ってやろう」という対応をリリアがしてしまうのも、これはもうセベクがかわいいから仕方ないですね。
あんなに立派な体躯なのに、どこかあどけなさが抜けない、そんな人物としてセベクは描かれています。
主従関係つながりで、ジャミルといっしょにエピソードに登場することが多いのですが(お互いの式典服エピソードに登場しあっています)、「人を疑うという発想がない」という点でもジャミルとは対照的ですよね。
茨の谷が動乱期にあったことを除いては、おだやかな少年期を送ったのではないかと私は思っています。

・実は食いしん坊
飛行術の授業では「お腹が鳴った」と言い、錬金術の授業では「お腹が空いた……」と言うセベク。「腹」ではなく、「お腹」です。かわいいですね。
イベント『スケアリーモンスターズ』でもエースに「てめーは大食いなんだから」と言われています。育ち盛りの男子高校生に「大食い」と言われているのですから、本当によく食べるのでしょう。一升炊きの炊飯器でごはんを炊いてあげたいですね。
ちなみに嫌いな食べ物は「ブラックコーヒー」です。「コーヒー」と言っていないので、お砂糖かミルクがあれば飲めるんだと思います。かわいいですね。


◯気になる発言
さて、最後に今後のストーリーに関わってきそうな重要そうな台詞を見ていきましょう。

・「いつでも若様の楯となり、剣となるべく、身体を鍛えている」(運動着・ホーム台詞)
原典『眠れる森の美女』での楯と剣といえば、妖精がフィリップ王子に与えたものです。フィリップ王子はこのふたつを携えて、ドラゴンとなったマレフィセントに立ち向かいます。となると、セベクの発言は原典とはむしろ逆の内容になっていると言えるでしょう。これも「ねじれた世界」の一端なのか…。ディアソムニア編、本当に待ち遠しいです。

・「人間は強欲だ」
リリアが錬金術の授業中に「人間の欲とは…」「欲が人を堕落させる」と言うのですが、セベクもその影響を受けているのか、「人間は強欲だ」と口にします。
これについてはやはり、セベクとシルバーの幼少期に茨の谷で起きていたことが深く影響していそうです。
これらの発言を鑑みると、「人間の『欲』のために、妖精たちが被害を受けた」と考えるのが自然そうですが、いかがでしょう? ディアソムニアの4人がどんな歩みを辿ってきたのか、大変気になります。


ということで、セベクについて私なりに考察してみましたが、いかがでしたでしょうか?

セベクのかわいさを、少しでも感じて頂けたなら嬉しいです!(あれー!?本題はー!?)

最後に私から申し上げたいことはひとつ。

セベクはかわいいですぞ。

以上、キャラ考察担当・みどりがお送りしました!(み)

寒冷コーラルリーフ! ―珊瑚の海はどこか?―

こんにちは。暑さ寒さに弱い、あおばです。そろそろ冬眠しようかと思います。

さて、本日は、「想像より寒くて暗いと思うのではないでしょうか(ジェイド:制服)」と紹介される、珊瑚の海のモデルを考えてみました。

「珊瑚の海」の位置についてまず大きな手掛かりは、「アズールと僕たち兄弟の故郷は珊瑚の海の中でも北の方でして。この時期は海面が流氷で覆われるんです(4章4話)」「氷が溶けた春休みに帰ることにしてんだ(4章4話)」という説明である。北が流氷に覆われる、というところから、北にいくほど寒い、ということが分かる。つまり、地球と同等の条件であれば、北半球にあると考えられる。また、冬は流氷に覆われ、春になると氷は溶ける。この条件に沿って、モデルの候補を北半球から探していこう。

 

アトランティカ記念博物館」は、リトルマーメイドの舞台になった深海の王国「アトランティカ」を記念したものと考えて良いだろう。ディズニー映画「リトルマーメイド」の舞台であるアトランティカの位置は、カリブ海であるように思われる。セバスチャンはカリプソを愛し、カリビアン訛りで喋る。珊瑚礁や魚の雰囲気も申し分なくカリブ海だ。ベネズエラトリニダード・トバゴあたりに接する位置であると思われる。北大西洋アメリカ側だ。これを一つ目の候補とする。

 

一方で、アトランティカが”アトランティス”を指すとするなら、どうか。アトランティスは「ジブラルタル海峡のすぐ外の大西洋」に沈んだ大陸である。これは北大西洋を渡ってアフリカ側だ。アズールの実家は「リストランテ」であるが、リストランテはイタリア語でレストランの意味である。おそらくイタリアンのレストランなのであろう。ジブラルタル海峡を一歩入れば地中海である。イタリアンレストランが世界のどこにあっても構わないが、もしイタリアにあるなら、アズールの実家は地中海であろう。地中海からジブラルタル海峡周辺のエリア、これを二つ目の候補とする。

 

しかし、カリブ海にしても地中海にしても、流氷は見られない。河川からの流入も期待できない。流氷の存在を前提とするのであれば、アズールたちの実家がカリブ海または地中海付近であるとは考えにくい。もっと高緯度の海域でなくてはならない。


そこで三つ目の候補である。リトルマーメイドの原作とされる「人魚姫」、著者のアンデルセンデンマークの出身である。有名な「人魚姫の像」はコペンハーゲンにあり、位置としてはバルト海と北海を結ぶエーレスンド海峡に面している。バルト海の北部~北海は冬に凍結するため、このエリアが「珊瑚の海」だと仮定してもよさそうだ。バルト海オホーツク海ぐらいの緯度なので、「意外と寒い」。というかそのぐらい寒くないと流氷は流れてこない。

しかし、そんな寒いところにサンゴは生息するのだろうか?


サンゴ礁のサンゴ、すなわち造礁サンゴは、共生する褐虫藻光合成をおこなわせるため、水深40m未満で光の届く透明度の高い場所と、18〜30℃であたたかい海水を好む。このタイプのサンゴは、流氷が流れ着くような水温の場所には生息できない。バルト海は寒く、サンゴ礁はできない。
対して、陰日性のサンゴ、すなわちソフトコーラルの一部や宝石サンゴと呼ばれるものなどの、褐虫藻を共生させないタイプのサンゴは、より寒くて暗い海に住むことができる。光の届かない1000mの深海底に住むものも多い。造礁サンゴのようなボリュームと華やかさはないが、色彩はなかなかである。北極圏の薄暗い海でも色鮮やかなソフトコーラルなどが見られるため、このタイプのサンゴが生えていれば、「サンゴの海」を名乗ることはできよう。

 

では、造礁サンゴの生息できないエリアに、タコやウツボは住めるのか?

 

ウツボは様々な種を含むが、いずれも温暖な海の浅瀬にしか生息せず、バルト海や北海で出会うのは厳しそうだ。

タコの分布は種により異なるが、イタリアでもノルウェーでも釣れるのだから、北海にもいると思われる、たぶん。分かんない。しかし、アズールとリーチ兄弟は人魚であって魚介類ではないので、生物としてのタコやウツボの生息域は手がかりとしては弱いのかもしれない。


以上の考察から、ここでは、アズールとリーチ兄弟の出身地である「珊瑚の海」は、人魚姫の祖国デンマークを囲む「バルト海~北海」に近い領域であると結論づけたい。現段階で直接の描写はないが、「リトル・マーメイド」の舞台=アズールらの出身地であるということが確定すれば、「珊瑚の海」は「北大西洋」に相当するエリアということになるだろう。